野生動物の大学

日本の野生動物の生態、保護管理、被害対策などについて

【野生動物】都会に出没した野生動物はどうする?③出没した場合の対処方法!

【野生動物】都会に出没した野生動物はどうする?③出没した場合の対処方法!

f:id:yasei_doubutu:20210222191228p:plain

https://news.yahoo.co.jp/articles/16c2c457cb1e36b82d98628cc080709227e2511f

近年、ニュースなどで都会に出没したシカやクマを目にしませんか?

その都度、捕獲や処分方法で大炎上するまでがオチです。

都市に出没するシカには、アーバンディアなんて名前も付けられ始めました。

では、なぜ野生動物たちは都会に出没するのか、都会に出没してしまった場合、どのように対処したら良いのか、といったものを紹介していきます!

 

このシリーズは3つに分かれています。

1.人里に出没する理由

2.過去の出没事例

3.出没した場合の対処方法

今回は、3.出没した場合の対処方法です!

1と2は過去に紹介しました。

yasei-doubutu.hateblo.jp

yasei-doubutu.hateblo.jp

 

 

【クマが出没した場合の対処方法】

各マニュアルの重要部分を抽出し、まとめました。

詳しくは各マニュアルをご覧ください。

①北海道のヒグマ出没時の対応方針

・市町村はヒグマの出没に迅速に対応できる体制の整備に努める。

・毎年ヒグマの出没が想定される期間における鳥獣保護管理法第9条の捕獲許可を受けておく。

・市町村は、ヒグマの出没情報があった場合には、出没個体の有害性判断フローと段階(下記に記載)に応じた対応方針に基づき、状況や有害性の段階にに応じて、捕獲従事者に出勤要請、住民への注意喚起、出没地周辺で標識の設置などの対策を講じる。

・子クマ発見時、市町村は、「子グマを発見した場合の対応方針(下記に記載)」に基づき、住民などが近づかないように措置を講じて、静観することを原則として対応する。

・市町村は、人身被害に重大な影響を及ぼすおそれのある出没については、「ヒグマ出没による緊急時の対応検討事項(下記に記載)」に基づき検討し、必要に応じて、振興局および警察と協議を行う。

【出没個体の有害性判断フローと段階】

段階3(問題個体)

→人間に積極的につきまとう、人間を攻撃する。

→例)人間を攻撃した、人間につきまとい離れない、食べ物をねだる。

→対応)入林禁止措置、問題個体の確実な排除、必要に応じて対策本部の設置。

段階2(問題個体)

→農作物への被害など、人間活動に実害を及ぼす。

→例)農作物・家畜等を食害した、生ゴミ・廃棄物につく。

→対応)誘因物の除去、農業被害防止措置(電気柵の設置等)、問題個体の排除、入林禁止措置。

段階1(問題個体/非問題個体)

→人間を恐れず避けない。

→例)人前にたびたび姿をみせる、人間を見ても逃げない。

→対応)経過観察、必要に応じて追い払い、出没が継続し住民の生活に支障がある場合は捕獲、農業被害防止措置を講じても出没が継続する場合は捕獲。

段階0(非問題個体)

→人間を避けて行動する。

→例)人家・農地にも頻繁に出没することはない。上記の例に該当しない。

→対応)経過観察、必要に応じて関係機関への情報提供・誘因物の除去等。

 【子グマを発見した場合の対応方針】

・子グマを発見した場合には、近くに母グマがいると考えられることから、安易な生け捕りは避け、住民が近づかないよう措置を講じて静観することを原則とする。

・誤って生け捕りした場合には、可能な限り速やかに放逐することとし、困難な場合には、周辺住民への生活環境被害防止を優先し、管理目的の捕獲を行う。

f:id:yasei_doubutu:20210222191353p:plain

北海道(http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ks/skn/higuma/syutubotuji.pdf
【ヒグマ出没による緊急時の対応検討事項】

f:id:yasei_doubutu:20210222191618p:plain

北海道(http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ks/skn/higuma/syutubotuji.pdf

②北海道のエゾシカ出没時の対応方針

【概要】

・都市に出没したシカ(以下:アーバンディア)の対応は、監視追跡(可能な場合は生息場所への誘導)を基本とする。

・捕獲は、交通事故の発生人への被害が考えられる場合経済的な損失が予想される場合に実施するものとする。

・捕獲をする際は、住民や関係者の安全確保を最優先に、被害や事故が拡大しないように適切かつ効率的な方法がによる実施が必要。

・捕獲個体は、生息数を抑制するため、可能な限り殺処分をすることが望ましいが、その場合には、苦痛を与えないように配慮しなければならない。

・具体的な対応にあたっては、①地域における対応整備、②情報収集と共有化、③住民・対応者の安全確保、④適切かつ効率的な捕獲等、の4点に留意する。

【地域における体制の整備】

アーバンディアの対応には、地域の関係機関団体等が連絡調整を図り、必要な役割を分担する。

↓連携体制・対応フロー↓

f:id:yasei_doubutu:20210222200744p:plain

北海道(http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ks/skn/est/ht/urbandeer/manual.pdf
【情報収集と共有化】

・アーバンディアの発生時には、詳細な情報を記録して関係者で共有することが重要。

f:id:yasei_doubutu:20210222201614p:plain

北海道(http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ks/skn/est/ht/urbandeer/manual.pdf
【住民・対応者等の安全確保】

・アーバンディア発生時において、不要な騒ぎなどは人身事故等に繋がるため、日頃からエゾシカに関する正しい情報や知識について、地域住民や関係機関等へ普及啓発に努める。

f:id:yasei_doubutu:20210222201957p:plain

北海道(http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ks/skn/est/ht/urbandeer/manual.pdf
【捕獲等方法の検討・決定】

・捕獲を実施する場合には、安全かつ効率的な方法でなければならない。

・機資材や人材の確保に努める。

・どのような捕獲方法であっても必要な手順(以下の表)があり、これを軸として状況に応じた方法を組み立てる。

f:id:yasei_doubutu:20210222202313p:plain

北海道(http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ks/skn/est/ht/urbandeer/manual.pdf

【まとめ】

いかがでしたか?

今回は、野生動物の対策が比較的充実している北海道のマニュアルを参考にさせていただきました。みなさんの地域では、このような対策がとられていますか?

しっかりとしたマニュアルがない場合、適切な対応ができない可能性があります。2020年に東京都足立区の荒川に出没したシカは、まさに対応できていない例でしたね。

今後、野生動物の都市への進出が増えていくと思いますので、各市町村はマニュアルの整備に努めていただきたいです。

 

以上で3回に渡って紹介してきた「都会に出没した野生動物はどうする?」シリーズが終わりになります!

閲覧いただき、ありがとうございました(^▽^)/

 

参考にした文献

エゾシカ対応の手引き↓

http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ks/skn/est/ht/urbandeer/manual.pdf

・ヒグマ出没時の対応方針↓

http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ks/skn/higuma/syutubotuji.pdf